私は、企業の就職面接の際に、またもや立場もわきまえず、将来私の上司となる人間に対し「日本の医療や看護はこうあるべきだ」という夢や「企業だからこそ出来ること」(と思うこと)を、熱く語ったのでした。企業側が事業理念として掲げている「医療のあるべき姿とわが社のソリューション」といった、病院や研究室にいた時には聞いたことのなかった「格好いい」話を聞いて、何だかとてもわくわくし、底知れぬ可能性の広がりを感じたのでした。
ただ、いざ会社に入ってみると、夢や理想だけを唱えているだけでは、何もできないという現実を目の当たりにしました。こうあるべきという「医療」を少しでも現実に近いものにするためのサービスを実現するには、時間もかかるし、人手もかかるし、当然お金もかかるし、医療独特のさまざまな制約条件もあるし、それから、会社という組織として、まあ分かりやすく言うと、それで食べていかなくてはならないわけです。
こういうことは、当然と言えば当然なのですが、私は一種カルチャーショックみたいなものを感じたのでした。
それまでは、「良い医療とは、質の高い看護とは」ということをよく話したりしていました。医療の世界って、どことなくお金の話をするのはタブーみたいな雰囲気がありますよね。でも、当然ですが、良い医療も看護も、それらをサポートする事業も、ボランティアでは出来ないわけです。ちゃんとそれを「仕事」として成り立たせていくためには、そう、ちょっと格好よくいうと、医療の世界での「ビジネス」としての見方が必要だと思ったわけです。
これが、私にはまだまだ欠けている。そんな風に思ったのが、私がビジネスの勉強をしようと思ったきっかけでした。
(ぴぐ)
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